夢叶え 平松愛理
2019年作

夢叶え 平松愛理

夢叶え 平松愛理
シーン1 食堂休憩室
平松は食堂の隅にある無料でお茶が出る機器に紙コップをおく。お茶が入ったコップを持って、村上と水上が、座っているテーブルの所へ向かう。
平松:村上さんさっき食事したのに、またチョコとか食べて大丈夫なんですか?
村上:これは別もんだよ。
平松:ふーん
水上:こいつは、ラーメン三郎とかですごい量食べているから、太ってはいないけど、
数値とかひどいと思うよ
平松:気をつけたほうがいいですよ。糖尿病とか
なってしまいますよ。
村上:大丈夫。
平松:だめだこりゃ
村上:それより俺やばいんだよね。給料どのくらい
もらってる?うち、手取りで18とかでやばいんだよね。みんなどのくらいもらってる
平松:同じようなもんよ。
村上:なんか、同じような仕事してんのに、年収500万とかもらっているやつとかいて。
平松:上流のほうでしょ。それはそれできつい仕事かもしれないよ。
水上:こいつ、心配性で、こないだ芸能人の占い師さんに見てもらったんだよな。そしたら、
別の会社にした方がいいと言われたんだよな
平松:芸能人の占い師?誰?
村上:ひとさん
平松:ああ、知ってる。私、占いとか嫌いじゃないあたしにも夢あるし。
水上:どんな夢?
平松:あたし、脚本書くの。で、それを動画配信する事業をしたいの。
村上:ああ、いいね。そしたら平松さん社長、俺、副社長でお願いします
平松:村上さん、興味あるの?
村上:金になるんだったら
平松:だめだこりゃ
水上:今の仕事どうするの?
平松:今すぐという話じゃないし、あたし、今の会社あまり好きではなくて
水上:平松さんもみてもらったら?ひとさんに夢あるんだったらなおさら。
平松:え?そんな簡単に見てもらえるものなの?ひとさんに。
村上はスマホを見せる
村上:これ、ひとひとさんのブログお、次回の鑑定、今週末だって。予約は今日12時30から。
水上:あーそのひと、ファン結構いるから、10分で、予定枠うまるよ。
平松は時計をみる。1229を指している
水上:やるんだったら今すぐ電話かけて。
平松:え?いくら?
水上:30分一万
平松:うーん
水上:いっかいみてもらえ
水上は、電話をするジェスチャーをする
平松はとっさに村上のスマホみながら、電話する
声:はい、占い鑑定希望の方ですか?
平松:はい。
声:お名前どうぞ。
平松:平松あいりです
声:はじめての方ですね
平松:はい
声:30分、一万だけど、大丈夫?
平松:・・はい
声:当日、キャンセルでも支払いですが大丈夫ですか
平松:はい
声:15時から15時半でいいですか
平松:時間指定ですか?
声:もう他の時間うまってしまってね、いい?
平松:はい。
声:では12月3日土曜日1450に来店してください。遅刻したら鑑定時間へりますのでご了承ください
平松:はい。
声:ではお待ちしております
平松:失礼します
平松は電話きる
平松:予約しちゃった。
水上:勢いもたまには必要だよ
平松:勢いはいいけど、お金払うのは自分だからさー
村上:オレの分も聞いといて。
平松:お金ください。ふふっ
シーン2 占いの場所
店内はパワーストーンなど、占いに関するグッズが
ところ狭しと並んでいる。
女性:はい、占いの方?名前は
平松:平松あいりです
女性:ああ、3時からの方ね、前金制です。一万。
平松:はい
平松は財布から一万取り出して渡す
女性:はい確かに。もう時間ですね。
ではこの道の奥の黒い垂れ幕をくぐって
お入りください。
平松は垂れ幕をくぐる、一人の女性が座っている
ひと:はじめまして、ひとです。宜しくお願いします
平松:宜しくお願いします
ひと:おかけください
平松:失礼します
ひと:まずはこの紙に名前と生年月日書いてください。
平松は書く
ひと:少々お待ちください。
ひとは紙にいろいろ書いていく。
ひと:水の人ですね。海好きですね
平松:はい大好きです
ひと:ああ、去年は大変だったでしょう。
でも、来年はいい年ですよ。12年に一度しかこないいい年
平松:本当ですか?
ひと:特に仕事面で大きな変化があります。
平松:そうその仕事のことで相談に。え?大きな変化。今日、履歴書お持ちしたんですが。
ひと:みせてください。岡村さんと仕事したこと
あるんですね。ちょっとこれ、さらっとにしてください。
平松:ええ?
ひと:私も芸能人さんたくさん鑑定してきましたけど、誰さんも誰さんも鑑定しました、
なんて経歴は書きません。逆効果です。
平松:わかりました。私は脚本を書きます。それを動画化する事業がしたいです。
ひと:そうそうに変化起こりますよ。
英語で動画で脚本、このキーワードで考えるといいでしょう。
平松:転職ということですか。
ひと:そうですね。例えばdooみたいな会社
平松:そうか、やっぱり今の会社終わるんですね
ひと:終わりますね。ただ、来年は12年に一度の年ですから、安心して頑張ってください
平松:ありがとうございます。
ひと:あなたは晩年よくなりますよ
平松:晩年かあ。この紙はいただけるんですか?
ひと:どうそ。どうそ。でもその前に説明させてくださいね。
25分後
カーテンの外から声がする
声、3分前です。
ひと:じゃ、最後に浄化しますので、目を閉じて手をあわせてください。
平松:はい
ひとはなにかやっている。
ひと:ではこれで完了です。頑張ってください
平松:ありがとうございました。
平松は店をでる。平松はスマホをみる。不在着信が
あるのに気づく。
平松:戸口?土曜日なのに営業から?なに?
平松は戸口に電話かける
平松:平松です。着信あったのでかけました
戸口:ああ、平松さんね、あのさ、うちの会社の情報垂れ流してない?
平松:ええ?なんで?なにもしてませんけど
戸口:なんか、あんたがもらってる給料の額とかいってない?
平松:いったっけ?
戸口:他の協力会社から情報きてるんだよ。やめてくれませんかね。そういうの。
平松:ええ?とばっちりです。適当に話あわせただけ
戸口:ほかの協力会社の人から、あそこもここも低いと言われたといってきてるんだけど
やめてくれませんかね。
平松:そうですか。すみません。
戸口:会社の悪口もいっているんじゃないですか
平松:話しても意味ありません
戸口:昨日の日報まだ届いてないんですけど
平松:最初の1ヶ月、慣れるまでっていってませんでした?もう3ヶ月目ですけど
戸口:あなたは、ずっとだしてください
平松:わかりました。要件はそれだけですか
戸口:くれぐれも気をつけてください
平松は電話を切る。
平松:確かにもう、この会社持たない・・・急いで転職活動しなくちゃ。
あのサイトに登録しなきゃ。
平松は電車の座席に座り、転職アプリを開く
平松:まだ、どこも返信ないな。今から10社ぐらいエントリーしよう
シーン3 食堂休憩室
水上:平松さんどうでした?なにかいいこと言われました?
平松:あたしも転職だな。
村上:じゃあ、3人でここの仕事ボイコットして、新しい仕事作ろうか
平松:無計画な話。
村上:ははは
平松のスマホが振動する
平松:ん?
水上:どうしました?
平松:ちょっと待って。メッセージが。えーと、平松さま。
平松さまの経歴を拝見いたしまして、ぜひとも、動画関係の新規事業を
立ち上げるのを手伝っていただきたく、僭越ながら、スカウトさせていただきました。
村上:すごいじゃん。
平松:まずは、ご興味あるかお伺いしたく、今から3日以内に返信いただけると幸いです。
水上:どうする、平松さん、やるの?
平松:やるかもしれない。今、返信するから、2人でお話してて
平松は返信メールを打つ。
すると、電話がかかってきた。
平松:はい、平松と申します。
鳥居:フォースプロの鳥居と申します。今、3分頃、宜しいですか?
平松:はい。
鳥居:メールで書かせていただいた通り、うちの会社で動画関連の新規事業を
立ち上げることになっておりまして、ただいま返信を拝見しましたところ、
ぜひともというお答えでしたので、お電話させていただきました。
平松:はい、ありがとうございます。
鳥居:一度、うちの会長と面談していただきたく、明日、朝7時に面談することは可能ですか
平松:朝7時ですか?朝7時ってそんな時間、面談したことがないのですが。
鳥居:ちょっとうちの会社、変わっていましてね、会長が朝7時にくるので、
ご都合は・・・難しいでしょうか。
平松:いやっ、いきます。朝7時ですね。どこですか。
鳥居:あとで、地図の記載したメールをお送りします。私も明日、いくので、つきましたら
私宛に電話いただけますか?私の番号、今、おかけしている番号です。
大丈夫でしょうか
平松:大丈夫です。
鳥居:それでは、お待ちしております。もし、地図とかわからなかったらまたご連絡ください。
平松:わかりました。失礼します
平松は電話を切る
村上:よかったですね。
水上:明日面談ですか?
平松:面談だけど、朝7時って。
水上:明日、平松さん、ここ病欠ですね。頑張ってきてくださいね
平松:ありがとう。